動画編集・映像制作の需要は高まっている
動画編集・映像制作に関する仕事は、年々需要が高まっている傾向です。
かつて映像編集などの作業は、限られた環境でしか行えないものでした。
編集専用の機材はほとんどが高価であり、専業業者以外の一般人が気軽に行えるものではなかったのです。
しかし、今ではインターネットの普及、スマホなどの各種デバイスが気軽に持てる時代であり、以前には存在しなかった動画撮影および編集のためのソフトウェアも無料で入手することが可能になりました。
作り手が以前より簡単に動画編集・映像制作ができるようになった一方、映像に関するニーズも年々上がっています。
そのため、映像に関する業界では、多くの人材を求めているのです。
また、動画を視聴する人口も年々増え続けています。
引用：サイバーエージェント、2021年国内動画広告の市場調査を実施
上記の市場調査の結果によると、広告市場は右肩上がりで拡大する一方で、5年前と比べた場合、約2.5倍の動画広告収益が見込めると予想されています。
制作側・消費者ともに多大なニーズがあるのが、動画編集・映像制作に関わる環境なのです。
動画編集・映像制作の需要が年々高まっている理由については、次の段落で詳しく説明しましょう。
動画編集・映像制作の需要が上がっている要因
なぜ、動画編集・映像制作に関する市場では、これほどまでに多くの需要があるのでしょうか。
その要因は大きく分けて4つあります。
では、その4つの要因について、次より具体的に説明しましょう。
動画投稿サイトの人気が高まっているから
現在は、スマホだけで気軽に動画撮影・編集ができますが、撮影・加工した動画を不特定多数に向けてアップできる動画投稿サイトも数多く存在します。
YouTubeやニコニコ動画といった大手動画サイトを筆頭に、短尺動画プラットフォームであるTikTok、インスタグラムのストーリーやリールといった動画投稿機能など、その種類は多様です。
特にTikTokは、短い時間で撮影できる手軽さから、若い世代を中心に多大な人気を集めており、投稿者・視聴者ともに膨大な数を記録しています。
また、動画投稿サイトを運営することによって、広告収益などを稼いで多くの利益を上げている「YouTuber」という、かつては考えられなかった職種の存在も、今では決して珍しくありません。
これら動画投稿サイトの存在によって、「動画を撮影する」という行為が難解で珍しいものではなく、身近な作業になったといえるでしょう。
動画広告の需要が高まっているから
先述の「動画編集・映像制作の需要は高まっている」で説明した通り、ネット上で展開される動画による広告は、年々需要が高まっている傾向です。
ネットの普及により、各企業は地上波テレビでのCM、紙媒体への広告よりも、閲覧者の多いネット上に出す広告に力を入れるようになりました。
そのなかでも、利用者の多い動画投稿サイトにあるさまざまな人気コンテンツの合間に動画広告を流すことが、宣伝効果のあることに気づき、多くの企業が動画広告を出稿するようになったのです。
また、動画広告経由で即購入する流れも多いことから、多くの企業は動画広告に多大な費用と手間をかけるようになりました。
近い将来、1兆円市場になるとも予想されている動画広告に関する現状は、しばらくの間ニーズがなくならないといっていいでしょう。
通信技術が発展しているから（5Gなど）
スマホ・タブレットの普及により、動画視聴を取り巻く環境は年々快適になっています。
かつては高性能で高価なPCでしか動画視聴はできなかったものですが、今ではスマホやタブレットにより、場所を選ばずに気軽に視聴可能です。
それに加えて、近年ではスマホの通信規格が5Gまで拡大したのも大きな要因といえるでしょう。
かつては、通信制限のため、スマホで動画試聴をすると速度・処理が遅くなり、大きな容量を消費する動画を視聴することは困難でした。
しかし、5Gの導入により、大容量の高画質動画を視聴は、高速処理で視聴が可能となったのです。
気軽に通信制限・データ量の消費を気にすることなく、動画視聴を楽しめる環境が用意されているので、通信技術の発展は、より市場を拡大させる要因になるでしょう。
コロナの影響で市場拡大が加速
2020年から世界的に蔓延した新型コロナウイルスの感染拡大は、多くの市場に良い意味でも悪い意味でも大きな影響を与えました。
コロナ禍により多大な打撃を受けて業務続行が不可能になり経営破綻する企業も多いなか、いわゆるリモート対応でも業務進行が可能な企業は、リモートワークに乗り換えることになりました。
このようなご時世によりステイホームが定着したため、「外に出かけずに家にいて楽しめる娯楽」として、ネットにより配信される動画がさらに注目が集まったのです。
コロナ禍により家にいることが多くなったため、ネットフリックスを筆頭とした定額制動画配信サービスに加入した人は少なくないでしょう。
有料の動画配信サービスや無料動画投稿サイトは、一生かかっても消費できない膨大なコンテンツが用意されているので、多くの人が利用しています。
それらサービスやサイトに動画広告を流せば、多くの人の目に入るので多大な宣伝効果をもたらしてくれます。
動画編集者として生き残るための方法
以上、説明した通り多くのニーズを抱える動画編集・映像制作ですが、動画編集をやれば確実に稼げるとは限りません。
多くのニーズがあるということはそのニーズを見込んだ参入者の人口も膨大なので、少し動画編集・映像制作のスキルを覚えたくらいでは、安定した仕事量を受注することはできないでしょう。
先述した通り、現在は動画編集・映像制作に関する数多くのソフト・アプリがあるので、簡易的な編集・制作は誰でもできます。
多くの動画編集・映像制作で安定した収入を得るためには、数多くの動画編集・映像制作者と異なるアプローチをして差別化を図らなくてはいけません。
では、動画編集者として生き残るためには、どのようなポイントを押さえるべきなのか、次よりその大事なポイントを5つ紹介しましょう。
1.スキルを伸ばし続ける
映像制作において、動画を撮影してそれをネット上にアップすることは簡単です。
TikTokを例に出すまでもなく、動画撮影はもはや日常の作業といってもいいでしょう。
しかし、撮影した動画に金額を発生させるには、編集・加工の技術が必要です。
動画を観やすく面白くして、多くの視聴者を獲得する・高品質な商品にするためにも、編集・加工のスキルは習得しなければいけません。
そのため、ある程度の動画編集・映像制作ができるようになっても、それだけで満足せずにさまざまなスキルを磨く必要があります。
動画編集・映像制作に関するスキルは以下のものが代表例です。
・テロップ入れ
・カット割り
・音響
・エフェクト処理
・画面デザイン
・アニメーション処理
これらのスキルを多くマスターすれば、クライアントが出すさまざまな要望に答えられます。
また、3D動画・VR動画のスキルも覚えてくとさらに仕事の幅は広がるでしょう。
2.ディレクションサイドを目指す
動画編集・映像制作で安定した収入、高収入を得るためには、さまざまなスキル取得が必要です。
スキル取得のために勉強をしている最中に「大変だから辞めたい」「自分には動画・映像は向いていない」と感じる人もいるかもしれません。
そのような人には、制作ではなく映像ディレクションに転身することもおすすめします。
動画編集・映像制作におけるディレクションとは、複数の動画編集者とクライアントの仲介人となって、双方の対応・管理・交渉を一任する業務です。
ディレクションがいれば、クライアントが直接編集者と交渉をする際に生じる手間が省けて、クライアントと現場のコミュニケーションが円滑になり、効率的に作業をすすめられます。
ディレクションサイドになれば、自分で動画編集・映像制作をする必要がないので、特別な編集スキルがなくても問題ありません。
ただし、大勢をまとめるコミュニケーションスキル、管理能力が必要となります。
3.動画制作関連で起業する
動画制作そのものでなくディレクションが向いている人は、いっそのこと動画制作関連で起業することもおすすめです。
ディレクションは、管理や交渉術に長けた人が行う仕事であり、会社経営に必要な能力との共通点は多いとされています。
動画編集・映像制作における最低限の知識は必須ですが、高品質な動画を生み出すスキルがなくても、経営に関しては問題ありません。
会社経営はあくまで人材の確保・育成・管理が重要なので、特別なスキルがなくてもやっていけます。
4.動画制作関連のスキルも身に付ける
動画編集や制作は手の込んだ動画の場合、いくつかのセクションに分かれています。
映画撮影には、監督・脚本・俳優・大道具や衣装など、役割分担があるように、動画編集・映像制作に関する業務も、デザインやプログラミング、ドローン撮影、マーケティング業務など、さまざまな分野があります。
人にはそれぞれ得意分野があるので、どれが自分に適しているのか選択するといいでしょう。
5.社会人としてのマナーを守る
動画編集者として収入を得るためには、スキルを磨くだけでなく社会人としての最低限のマナーを身につけることも重要です。
クライアントや同業者との共同作業において、時間や納期を守らない・クライアントの要望に応えないなどのルール破りをしてはいけません。
そのようなことをした場合、いくらハイレベルなスキルがあっても、信用を失って二度と仕事の依頼はないでしょう。
動画編集の需要・将来性に関するよくある質問
動画編集における需要や将来性に注目した場合、以下のような質問がよく見られます。代表的な質問の回答を紹介しましょう。
動画編集者は増加・飽和している？
動画編集を仕事としている人・今後仕事としたい人は年々増えています。
しかし、それに比例するように動画編集に関わる業務も右肩上がりなので、編集者だけが余って仕事がないといった事態は、しばらくはないでしょう。
また、どの分野でも飽和状態になってもすぐに仕事が減るといったことはなく、本格的に仕事が減るのはその数年後といったパターンが多いです。
少なくとも数年間は大いに需要があるとみて間違いはありません。
動画編集の仕事はAIに奪われる？
今後あらゆる分野でAI化が進むと言われていますが、動画編集・映像制作においては微妙といえます。
カット割や画面へのテロップ入れは、AIでも対応可能です。
しかし、それ以外の編集作業である微妙な間・タイミングは作り手やクライアントなど人によって嗜好が異なるので、AIに任せるのは難しいといわれています。
したがって、作業の効率化を図るためにAIが導入される可能性は高いですが、それ以外の作業は人間の手が必要なので、すべての作業がAIに奪われる心配はないでしょう。
